sola

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 どこかのサイトで昨年放送アニメ、らき☆すたを抑えて堂々の人気No.1と書いてあったのがこの作品。って、またまた美少女系かよっ...。でもなんというか、やっぱり風景がきれいなのと、自分も空をカメラに収めるのが好きなので、つかみはおk。しかも舞台が長崎だ。長崎といえば、昨年末に大切な人を訪ねて行ってきたばかり。だから、なんというか...思い出の地。
 物語の主人公は、空が好きで、空の写真ばかりを撮っている男の子。その日も海から見える夜明けを撮りに、早朝4時に海の見える公園でカメラを構えていた。その時、古い自動販売機を蹴りまくる少女に気が付く。
 長崎って凄く不思議なところで、海と山が同時に存在している...っていうと鎌倉とかもそうだけど...。自分は東京とか茨城はつくば市とか、イギリスはロンドンとかケンブリッジとかにしか住んだことがないので、海と山を同時に見るのはすごく不思議な感じ。しかも長崎は洋館なんかもあり、自然のみならず文化も入り交じっている。とてもよいところ。そんなちょっと不思議な街でどんな物語が展開されるのか。
(早速ネタバレ入ります。)

 雰囲気から全くもってミステリアスな展開になることは想像出来ないのだが、まぁ、午前4時に自動販売機を蹴りまくる少女ってのも変といえば変なんだろうか。四方茉莉と名乗る彼女は直射日光に当たると灰になってしまう不老不死の力を持つ「夜禍」という存在。もう何百年も生きて続け、夜か、雨の日にしか外を出歩けず、青空に憧れている。写真好きの男の子、森宮依人は、ふとしたきっかけから、謎の男に襲われている茉莉と再会し、彼女の超自然的な能力を目の当たりにしてしまう。謎の男(a.k.a.ヒゲダンディー)は依人に、彼女(茉莉)と関わるなと忠告するも、依人は茉莉を自宅にかくまう。
 依人には姉がいる。3ヶ月前から入院している姉、森宮蒼乃は無口だけど、依人が見舞いに来ないと、表情には出さないがとても哀しそう。そんな彼女と患者友達になった石月こよりとその姉、石月真名。真名は実は依人と同級生だったことがわかり、兄弟ぐるみの付き合いが始まった。そんな真名はとても世話好きな女の子で、依人が両親を失い、姉と二人暮らしだということを知ると、彼のことを学校でも気に掛けるようになる。彼が茉莉をかくまうようになり、無断欠席をしたときは、心配して彼の家に押し掛け、茉莉を発見する。焦っていろいろごまかす依人と、あっけらかんとそれらの言い訳を潰してしまう茉莉と、それを見た真名は状況を察し、直ぐにうち解ける。
 茉莉を姉に紹介しようと、真名やこよりと共に蒼乃の病室を訪れる依人だったが、蒼乃は一向に起きる気配がない。結局会わずに夜になってしまった。帰り道、茉莉は久しぶりに一人で街を歩きたいといい、病院を出てきた蒼乃と会う。彼女らは数百年前に出会っていたのだった。蒼乃も実は茉莉によって生き返させられた夜禍だったのだ。数百年前、蒼乃は夜禍への生け贄として村から茉莉のところに送られたのだった。しかし、茉莉は特殊な能力をもっていて、不老不死であること以外は普通の女の子となんら変わりがない。ただただ寂しかったのだ。そんな茉莉と蒼乃は直ぐに仲良くなり、姉を心配して夜禍の住む洞窟に向かった依人もまた同様に...ってホントなんで自分は感想を書こうとするとストーリー書くんだろう!!!でもあとちょっとで大体の概要が終わる。依人と蒼乃は茉莉をなんとかして日の光の下に連れ出しても大丈夫な方法を模索し、依人がその手がかりを発見したということを伝える。が、次の日大雨による土砂崩れによって、依人の家が下敷きになり、依人は帰らぬ人となってしまう。依人のいない世界では生き続けられない。そもそも自分が生け贄になったのに生きているからこのような災害が起こってしまったのだと責任を感じてしまった蒼乃は、茉莉の目の前で自殺してしまう。しかし、残されてまた何百年も孤独になってしまうことを恐れた茉莉は蒼乃を夜禍として甦らせてしまう。依人の遺体は発見されず、結局彼を甦らせることが出来ないと知った蒼乃は、悲しみの中、茉莉を後にする。それから数百年ぶりにまた二人が遭遇するのだ。
 ちょっとまて、じゃあ今の依人は何者?!実は蒼乃も夜禍になったときに能力を得た。それは紙細工に自分の血を垂らすとそれに命が宿るという。つまり今の依人は蒼乃が作った紙細工。作ったときに大きな力を用いたため入院したということだったのだ。蒼乃は依人とただただ静かに平和に暮らしたいから、謎の男に追われている茉莉を突き放す。茉莉は気を利かせて、依人のいる家から姿を消す。でも依人は彼女を捜し続ける。
 あ、もういい加減感想に入りますが、最後に一言。謎の男、辻堂剛史は、不運な事件が原因で殺され、夜禍として甦えった幼なじみの女の子、神河繭子を人間に戻すために茉莉の命を狙っているが、繭子は人間に戻ることより、ただずっとそばにいて欲しいということを強く願っていたため、辻堂は茉莉から命を奪うことを断念。その代わり今度は茉莉と依人がその方法を使って姉蒼乃を人間に戻し物語は終わる。

百年の孤独

 なんでここまで書いてしまったかというと、感想を述べようにも、感銘を受けたのは彼ら彼女らの場面場面における心情だったから。とにかく、蒼乃は数百年前は普通の女の子のようにしゃべっていたのだが、現在においてはとても無口。でも茉莉に訴えかける場面などで感情的になる。夜禍は不老不死でかつ昼間の世界に出ることの出来ない存在。故に人間との関わりが持てずに永遠に孤独に生き続けなければならない。その上、普通の人間と外見などなんら変わらないにもかかわらず、人々から恐れられてしまうという悲運な存在。この孤独が人を求める力となっている。命を削ってでも依人と暮らしたいと願った蒼乃、それに関わってはいけないと遠慮した茉莉、しかし、茉莉の事を想うようになってしまった依人。平たく言えばこの話、悲劇だ。しかし、各々の人物の想いや願いが交錯し、不思議な人間ドラマに仕上がっている。

絵に魅せられた

 長崎ええわ、長崎。話の筋は正直そんなにしっかりしていない。でも雰囲気が和やかで、それだけで清涼感がある。悲劇なのに暖かくなる。そして空、土地、人が好きになる。これまで見てきたアニメにはない良さがある。とにかく、キャラクターデザイン、ボイス、サウンド、全てに一種の統一感と独特な雰囲気があって、見ていて疲れない。No.1になるかどうかというとこには甚だ疑問ではあるが、とてもライトな作品として楽しめた。

好きなキャラクター

 世話好きで元気な真名が好き。特に、忘れられていく存在、依人を最後まで想い続けるけど、結局彼女の記憶から消えてしまうシーン。なぜこんなに泣いているんだろうというシーン。彼女の依人への想いが、一番淡い。事情により茉莉や蒼乃に気を遣う空気の読める真名。でも彼女の気持ちが最終的に三人とも救うことになる。