ひぐらしのなく頃に

ひぐらしのなく頃に

 つ、ついに見てしまいました。『ひぐらしく頃に』いやいや、某ネット動画サイトでMAD率がものすごく高いので、前々から興味があったんだけどなかなか見る機会がなくて...。しかしこれはヤバい!あ、両方の意味で。
 原作はゲームというかサウンドノベルなのだそうだが、とてもじゃないけど怖くてページめくれないっ!!!(><)というくらい人間の心の闇を巧みに表現してある...と、いわゆる猟奇的なホラーストーリーなのかと思いきや、徐々に見続けると、ものすごく良くできた主眼設定ということに気付かされる。主眼設定というのは、アニメを見ている本人=主人公視点なのだが、次々と解き明かされていくその「仕組み」によって、これまでただの猟奇的、サイコな設定だと思っていた箇所に各々理由が見えてくる。とまぁ、全く導入にはなっていないのかも知れないし、コアファンに「はぁ?」と思われるかも知れない。その「仕組み」というか全貌こそ、若干無理矢理感があるものの、表現の仕方、プロット、そしてそれぞれの要素を出すタイミングなどは絶妙としか言いようがないし、非常に良く作り込んである作品だと思った。しかしまた、これだけのフレームにも、幾つかまだカケラが足りないのは、アニメ化時にはしょられた部分なんだろうか。
 あー、ちなみにホラーとかスプラッター系とかが苦手な人は、トラウマにすらなってしまうのではないかというくらい残虐かつサイコホラー的な表現ばかりなので、遠慮することをオススメする。

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って!なに?これ実写化するの?!大丈夫なの?!

以下ネタバレを含んだ感想なので...
 個人的に一番思い入れがあったのが「綿流し編」ー「目明かし編」の詩音の心情。思い入れというか、最も自分にとって怖かったストーリーでもある。でも、目明かし編の悲惨な目にあい、それに関わった全ての者への復讐をする様、その修羅のごとき心情は、自分の奥底にも眠っているのではないかと思うこともある。いわゆる、自分の心の中にいる鬼。もちろん、これはストーリー的には雛見沢症候群の発症のせいということになってはいるものの、人間ならば誰でも持っている憎しみが増幅され、さらには実行されるとこういう無惨な形になって現れるのではないかと思う。しかし一方、この鬼となった人間に哀れみを感じた。ここまで人に哀れみを感じるということは未だかつて無かったといっていいほど哀れだった。肉体的にも、精神的にも極限まで苦しめられた人間が、なぜこれ以上残虐な事を続けなければならないのか。これを打開できる方法があるとしたら...仲間、仲間への信頼。
 ひぐらしの2期である『ひぐらしく頃に解』における仲間への信頼、団結感は、これまで見たことのあるアニメ、ドラマ、舞台、聞いたことのあるストーリーの中で最も説得力があった。それは、命を賭けた...いや、むしろ何度も殺し合った結果得られた強い強い結託感。もちろん、現実世界はループしてはいない(と思うが...)ので、殺し合わないと信頼出来ないなんてことがあってはとて〜も困るわけだが...(^^;でも殺傷しあわずとも、やはりこれだけの信頼感を得るには、時には傷つき、相手を傷つけ(物理的に/精神的に)、もっと"中途半端"な言い方をすると"迷惑をかけ"ながら獲得していくものなんじゃないかとも感じられた。ってまぁ文章で書くと、どこかの友情冒険アニメみたいに思えるかも知れない。そう言われても仕方がないかぁ。
 一番好きなキャラクターは、おこちゃま属性が嫌いな自分では意外だったが古手梨花。容姿だけ見るとロリコンと勘違いされてしまうが、でもまぁ、ここまで読んでいる方ならそうではない事は分かってくれると思う。好きというのは彼女の性格というか、彼女の揺れ動く心情、即ち、挫折、勇気、信頼、そして希望。時間の長さでいうと100年もの間、休むことなく惨劇を体験し続けているにも関わらず、なおも見せる笑顔。それが作られたものであったとしても、その笑顔は見ていると辛くて辛くて仕方が無くなってくる。それでも、繰り返される時を一つ一つ、時にはもがき、時には自暴自棄に過ごしたり、生き続けなくてはならない。これは好きというより同情なんだろうか...。あ、容姿に関しては無論、園崎姉妹でごわすw あとレナのかぁいいモードががぁいいwwwお持ちかえり〜(はぁと)
 とにかく、この作品は、とても良く出来ている。というか、人間の本能、人間の心の中の闇、鬼、汚い部分にまでガンガン踏み込んで来る作品。それ故に、見るのにも、少々精神的に支障を伴うかも知れないが、この作品の持つ説得力は、それ故に、これまで触れてきたどの作品よりも強いと思う。